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Textile Industry Column糸偏コラム:自由な視点
私の回顧録

2025.12.26:第10回 私の回顧録

バイヤー編 Prat4
〜売れ筋商品の作り方〜

こんにちは。
こんにちは。 糸偏コラム「私の回顧録」第10回です。

前回は「ファッション予測と仕入の関係」についてお話ししましたが、今回はいよいよ、バイヤーの仕事の核心とも言えるテーマ―― **「売れ筋商品の作り方」**についてお話しします。

“売れる商品を仕入れる”という言葉はよく聞きますが、実際の現場ではそれだけでは足りません。 本当に重要なのは、**「売れる商品をどう生み出すか」**という視点です。

このテーマは、私自身がバイヤーとして最も悩み、考え、試行錯誤を重ねてきた部分でもあります。 うまくいったこともあれば、見事に外したこともある。 今回はそんなリアルな経験を交えながら、「売れ筋商品」を“偶然”ではなく“必然”として作っていくための考え方を、できるだけわかりやすくお伝えしていきたいと思います。

売れ筋

◾️ 「売れている」と「売れる」は、似て非なるもの

まず最初に、よくある勘違いから。

「今、売れている商品をたくさん仕入れれば、売上は伸びる」 一見、正しそうに聞こえますよね。 でも、バイヤーとして仕事を続けていくと、この考え方が必ずしも正解ではないことに気づきます。

なぜなら―― “売れている商品”と“売れ続ける商品”は、別物だからです。

今この瞬間に売れている商品は、
・ 天候
・ 気温
・ 売り場の配置
・ スタッフの声かけ
・ SNSやメディア露出(SNSは当時ありませんでしたが)

といった、さまざまな要因が重なって成立しているケースがほとんどです。 その背景を理解しないまま数量だけを増やすと、思わぬ落とし穴にはまることになります。


◾️ 店長とバイヤーの決定的な違い

ここで、店長とバイヤーの役割の違いについて、少し整理してみましょう。

店長の役割:売れ筋を「見つける人」

店長は、売り場に立ち、お客様の反応を日々観察しながら
「何が売れているか」
「なぜ売れているのか」
をリアルタイムで感じ取る存在です。

売場での気配、空気、会話。 数字だけでは読み取れない“温度感”を掴む力は、まさに現場で鍛えられるものです。

バイヤーの役割:売れ筋を「作る人」

一方、バイヤーは 「次に売れる商品を、どう仕掛けるか」 を考える立場。

今の売れ筋を分析し、その“理由”を分解し、 少し先の未来に向けて再構築する。

つまり、 店長は“発見者”であり、バイヤーは“設計者” と言えるかもしれません。


◾️ 売れ筋のワナ|数量を増やせば売上が伸びるとは限らない

ここで、バイヤーあるあるの話をひとつ。

「この白シャツ、めちゃくちゃ売れてる!」

「じゃあ次は、同じ型を倍の数量で仕入れよう!」

……さて、結果はどうなるでしょう?

実はこのパターン、 思ったほど売上が伸びない もしくは 途中で失速する というケースが非常に多いのです。

理由のひとつが、 選択肢が増えすぎることによる“迷い”。

人は、選択肢が多すぎると 「選べない → 買わない」 という行動を取りがちです。

売れ筋だからといって、同じものを大量に積むだけでは、 逆に売場の魅力を下げてしまうこともある。 これが、売れ筋の怖さでもあります。


◾️ 売れた理由は、必ず分解できる

では、どう考えるべきなのか。

大切なのは、 「なぜそれが売れたのか?」を徹底的に分解することです。

たとえば、売れている白シャツ。

・ デザイン: シンプルだけど、どこか今っぽい。襟の形、身幅、着丈、その“微差”。

・ 価格: 高すぎず、安すぎず。 「この値段なら失敗してもいいか」と思わせるライン。

・ 素材感: 触った瞬間に「着心地良さそう」と感じる生地。 シワになりにくい、透けにくい、などの安心感。

・ 売り場環境: 入口付近、視線の高さ、コーディネート提案の有無。

これらが偶然ではなく、重なった結果として売れ筋が生まれています。 バイヤーは、この“重なり”を意識的に再現しにいく存在なのです。

売れた理由

◾️ 売れ筋を「仕掛ける」ための4つのアプローチ

ここからは、私が実際に意識してきた 売れ筋を作るための考え方を、いくつかご紹介します。

①「なぜ?」を最低3回、自分に問う

売上データを見て終わり、では意味がありません。
・なぜ売れた?
・なぜこの色?
・なぜこの価格?
最低でも3回は「なぜ?」を繰り返す。 すると、表面的な理由の奥に、本質が見えてきます。

② 関連商品で“物語”を作る

単品で売るのではなく、 「これと一緒に使うと、もっと良いですよ」 という提案をセットで考える。

白シャツ × ネクタイ
白シャツ × ジャケット
白シャツ × パンツ

売れ筋商品は、 **次の売上を生む“起点”**にもなります。

③ あえて外す「挑戦枠」を残す

すべてを無難にまとめると、売場は一気につまらなくなります。

・ 少しクセのある色
・ 少し尖ったデザイン
・ 少量だけ仕入れる実験アイテム

こうした“挑戦枠”が、 思わぬヒットを生むことも少なくありません。

④ 売り場は「動かしてこそ資産」

売り場のスペースは有限です。
動かない商品が場所を占領しているなら、それは“負債”。

・ 視線の高さ
・ 動線の先
・ 入口付近

「どこに何を置くか」は、仕入れと同じくらい重要。
売れる場所には、売れる商品を。
これを徹底するだけで、売上は変わります。


◾️ バイヤーとして大切にしてきた言葉

最後に、私がバイヤー時代に何度も自分に言い聞かせてきた心得とも言える言葉を、少しご紹介します。

・ 売れ筋は、追うものではなく、育てるもの
・ 数字の裏には、必ず感情がある
・ 迷ったら、顧客に立ち返れ
・ 商品は、物語と一緒に売る
・ 在庫は敵にも味方にもなる
・ 流行は波、顧客は風

どれも派手な言葉ではありませんが、 判断に迷ったとき、何度も助けられてきました。

心得

◾️ 今日の売れ筋は、明日の死に筋

最後に、バイヤーという仕事を象徴する言葉をひとつ。

「今日の売れ筋は、明日の死に筋」

今、飛ぶように売れている商品も、 少し条件が変われば、あっという間に動かなくなる。

だからこそ、 常に「次」を考え、 小さく試し、 育て、 また仕掛ける。

この繰り返しこそが、バイヤーの仕事の醍醐味なのだと思います。


◾️ バイヤーとして大切にしてきた言葉たち

最後に、私がバイヤー時代に何度も自分に言い聞かせてきた言葉を、少しご紹介します。

・ 売れ筋は、追うものではなく、育てるもの ・ 数字の裏には、必ず感情がある ・ 迷ったら、顧客に立ち返れ ・ 商品は、物語と一緒に売る ・ 在庫は敵にも味方にもなる ・ 流行は波、顧客は風

どれも派手な言葉ではありませんが、 判断に迷ったとき、何度も助けられてきました。


◾️ 今日の売れ筋は、明日の死に筋

最後に、バイヤーという仕事を象徴する言葉をひとつ。

「今日の売れ筋は、明日の死に筋」

今、飛ぶように売れている商品も、 少し条件が変われば、あっという間に動かなくなる。

だからこそ、 常に「次」を考え、 小さく試し、 育て、 また仕掛ける。

この繰り返しこそが、バイヤーの仕事の醍醐味なのだと思います。


◾️ 次回予告|バイヤー編、いよいよまとめへ

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。 売れ筋商品の作り方についてお話ししてきましたが、改めて振り返ると、当時の私は「どうすれば売れるのか」「どう仕掛ければ結果につながるのか」を必死に考えながら、目の前の仕事に向き合っていました。

ただ、こうして時間が経ち、キャリアを重ねた今だからこそ見えてくることも、正直たくさんあります。
あの頃は点でしか理解できていなかった出来事が、今振り返ると一本の線としてつながっていたり、「あの判断、実はこういう意味があったな」と腑に落ちる瞬間があったり。今回のコラムも、当時の記憶をなぞりながら、今の自分の視点を少しだけ重ねて書いています。

次回はいよいよ「バイヤー編」の総まとめ。
これまでお話ししてきた
・ バイヤーという仕事の本質
・ 商品力の考え方
・ ファッション予測と仕入
・ 売れ筋をどう作り、どう育てるのか
といったテーマを一度整理しながら、商品計画・販売計画・在庫管理という、バイヤー業務の“全体像”を俯瞰してお伝えしていきます。

当時、現場で悩みながら走っていた自分に向けて、そして今、同じように悩みながらバイヤーという仕事に向き合っている方に向けて。
「あの頃の自分」と「今の自分」、両方の視点を行き来しながら綴る、少し大人な振り返り回になる予定です。

バイヤーという仕事の面白さも、厳しさも、全部ひっくるめてお届けしますので、ぜひ次回もお付き合いください。


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