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Textile Industry Column糸偏コラム:自由な視点
サステナの窓

2026.02.01:第2回 サステナの窓

サステナブルについて考える
〜続けることが大切〜

こんにちは。
「サステナの窓」をご覧いただきありがとうございました。

「365日・365点」。

第1回で掲げたこの目標から、1ヶ月が経ちました。 正直に言うと、思っていたほど進んでいません。

毎日1点出品する。 言葉にするとシンプルですが、実際にやってみると、想像以上に手間がかかります。 撮影をして、状態を確認し、文章を書き、価格を考える。 一つひとつは小さな作業でも、積み重なるとそれなりの時間が必要でした。

気がつけば、1月はほとんど出品できないまま終わっていました。

ただ、ここで一度立ち止まり、考えました。 この企画は、「計画通りに進めること」そのものが目的だったのか。 それとも、「服と向き合い、次につなげる行動を続けること」が大切だったのか。

答えは、後者でした。

ユーズドの服

◾️ サステナブルは、計画通りに進まなくていい

サステナブルという言葉には、どこか「正しさ」や「理想像」がつきまといます。 計画通りに進めること、数値目標を達成すること、継続できていること。 そうした条件を満たせなければ、意味がないように感じてしまうこともあります。

けれど、日々の生活の中で行う行動は、必ずしも理想通りには進みません。 仕事の都合、体調、気持ちの余裕。 どれか一つ欠けるだけでも、計画は簡単に崩れます。

サステナブルな行動も、同じだと思っています。 最初に立てた計画は、あくまで「目安」であって、「義務」ではありません。

大切なのは、
・できなかったことをなかったことにしない
・やめてしまわない
・今できる形に調整する

そうやって、現実に合わせて形を変えながら続けること。 それもまた、持続可能な行動の一つだと考えています。


◾️ 今回の更新について(10点でも、更新する理由)

今回は、約10点のアイテムを出品します。 数としては、決して多くありません。

それでも、2月1日に一度更新することにしました。 理由はシンプルです。 「少なくても、動かす」ことを選びたかったからです。

更新を先延ばしにすれば、 「もう少しまとまってから」 「もう少し準備ができてから」 そうやって、どんどんタイミングを逃してしまいます。

10点でもいい。 完璧じゃなくてもいい。 まずは、服を次の場所へ動かす。

その積み重ねが、結果的に365点につながっていけばいい。 そんな現実的な考え方に、今回は切り替えました。


◾️ なぜ「好きだった服」だけを出すのか

今回紹介するのは、すべて自分自身が気に入って購入した服です。 デザインに惹かれたもの、素材が面白いもの、少しクセのあるもの。 流行や売れ行きよりも、「好き」という感覚を優先して選んできました。

だからこそ、簡単に処分することはできませんでした。 でも同時に、今の自分には着きれない量になってしまったのも事実です。

それならば、 「好きだった」という気持ちを、きちんと次に渡したい。

どんなところに惹かれたのか。 どう着ると面白いのか。 どんな人に合いそうか。

そうした視点を添えて手放すことが、 ただの整理や処分ではない、次につなぐ行動になると考えています。


◾️ 服をモノとして扱わないために

服は、どうしても「モノ」として扱われがちです。 価格、ブランド、状態。 それらはもちろん大切ですが、それだけでは服の魅力は伝わりません。

一着の服には、 ・デザインした人がいて ・作った人がいて ・選んだ理由がある

そうした背景があります。

今回のリユースでは、 1アイテム1写真というシンプルな形で紹介しますが、 その分、言葉で補い、服の輪郭を伝えていきたいと思っています。


◾️ 今回紹介するアイテムについて

今、実際に着ることを考えると、やはり中心になるのは冬のアウターです。 洋服の仕事に長く携わってきましたが、小売の現場では「その季節のアウター」が売上の柱になることがほとんどでした。防寒性という明確な役割があり、価格帯も高く、なおかつデザインによる差別化がしやすい。だからこそ、ブランドの個性や時代性が最も表れやすいアイテムでもあります。

今回紹介するアウターの多くは、自分自身のために購入したものです。 その時々で惹かれたデザイン、素材、シルエット。 また一部には、娘に似合いそうだと思って選んだものや、サイズは合わないけれど「これは面白い」と直感で購入したものも含まれています。

共通しているのは、すべてが自分の目線で選ばれた服だということです。 売れているとかトレンドではなく、好きかどうか。 着たいと思えたかどうか。

そうして集まった洋服たちは、結果として数が増えすぎてしまいました。 けれど、一着一着にはちゃんと理由があり、背景があります。 今回は、それらをできるだけ言葉にしながら、次の持ち主へとつないでいきたいと思います。


◾️ 1|Brooks Brothers
スウェット スタジャン(ジップアップ・裏毛)

記念すべき第一号として紹介したいのが、Brooks Brothers(ブルックス ブラザーズ)のスウェットスタジャンです。

自分の洋服の原点を辿ると、やはりこのブランドに行き着きます。幼少期からアイビー的な装いに触れて育ったこともあり、「三つ子の魂百まで」という言葉が自然と当てはまる存在です。以前、文化服装学院の博物館で開催されていたブルックスブラザーズ展を観に行ったほど、このブランドには個人的にも特別な思い入れがあります。

ブルックスブラザーズは、1818年創業のアメリカ最古の衣料ブランドです。アメリカントラッド、いわゆるアイビールックの礎を築いた存在であり、ボタンダウンシャツやネイビーブレザーなど、現在のメンズウェアの基本形を数多く生み出してきました。その根底にあるのは、奇をてらわないこと、そして長く着続けられることです。

今回紹介するのは、そんなトラッドの象徴とも言えるブランドが手がけた、スウェット素材のスタジャンです。スタジャンと聞くと、ウールメルトンにレザー袖といった重厚なイメージがありますが、このアイテムは裏毛のカットソー素材を使用しています。前開きもスナップではなくジップ仕様で、デザイン的にはMA-1に近い印象です。そのため、アウターというよりも「気軽に羽織れる一枚」としての立ち位置がしっくりきます。

重たさがなく、取り扱いも気楽。それでいて、シルエットやディテールにはきちんとブルックスらしい品の良さが残っています。トラッドな文脈を持つブランドが、スポーティなアイテムをどう解釈するのか。その答えが、この一着には詰まっているように感じます。

アイビーの延長線上にあるカジュアル。頑張りすぎず、でもだらしなくならない。日常の中で自然に着られて、長く手元に置いておきたくなる。そんなブルックスブラザーズらしさを、改めて実感させてくれるアウターです。

brooksbrothers

◾️ 2|ALPHA INDUSTRIES
N-3B フライトジャケット(XL)

ALPHA INDUSTRIES(アルファ インダストリーズ)は、1959年創業のアメリカを代表するミリタリーブランドです。米軍向けフライトジャケットの製造をルーツに持ち、MA-1やN-3Bといった名作を数多く世に送り出してきました。ファッションとしてのミリタリーというより、まず「装備」としての完成度が先にあるブランドです。

今回紹介するN-3Bは、極寒地用として開発されたフライトジャケットです。コックピット内外の厳しい環境に対応するため、防寒性を最優先に設計されています。厚手の中綿、首元までしっかり覆うフード、そして全体のボリューム感。そのどれもが、視覚的にも機能的にも「寒さに負けない服」であることを物語っています。

カラーは定番のオリーブグリーン。ミリタリーらしい無骨さがありながら、デニム、チノ、カーゴパンツなど、手持ちのボトムスとも合わせやすい万能な色です。街着として着ても浮かず、それでいて存在感はしっかりある。このバランス感覚が、N-3Bが長年愛されてきた理由だと思います。

サイズはXLで、全体的にゆとりのあるシルエットです。タイトに着るというよりは、アウターとしての迫力や包み込まれるような安心感を楽しむ一着です。着た瞬間に「暖かい」と感じられる服は、やはり頼りになります。

流行に左右されることなく、毎年冬になると自然と思い出す存在。防寒性、耐久性、デザイン。そのすべてが高い次元でまとまった、まさに定番と呼ぶにふさわしいフライトジャケットです。

alpha

◾️ 3|Bershka
MA-1 ジャケット(レディース L/ブラック×ブルー)

Bershka(ベルシュカ)は、スペイン発のファストファッションブランドです。ZARAと同じインディテックスグループに属し、トレンド感のあるデザインをスピーディーに商品化することで知られています。価格を抑えながらも、シルエットや配色で「今」を表現する力に長けたブランドです。

このMA-1は、表地は定番のブラックですが、裏地に鮮やかなブルーサテンを使用している点が印象的です。ミリタリー由来のMA-1は、本来レスキューオレンジの裏地が定番ですが、それをブルーに置き換えることで、ぐっとファッション寄りの表情になっています。脱いだときや、袖口からちらりと見える裏地が、コーディネートのアクセントになります。

レディースのLサイズですが、ややオーバーサイズ気味に着ることで、メンズライクなスタイリングも楽しめます。細身のパンツと合わせてバランスを取るのも良いですし、あえてワイドパンツと合わせてラフに着るのも面白い一着です。

作りや素材は、正直に言えば本格的なミリタリーとは違います。ただ、その分軽く、気負わず着られるという良さがあります。トレンドアイテムとして割り切って着るのではなく、うまく日常に取り入れることで、十分に役割を果たしてくれるアウターです。

「高いから良い」「安いから悪い」ではなく、どう着るか、どう付き合うか。その視点を改めて考えさせてくれる一着でもあります。

bershka_ma-1

◾️ 4|Bershka
M-65 モッズ風コート(メンズ M/オリーブ)

同じくBershkaから、M-65をベースにしたモッズ風コートです。 M-65は、1960年代に米軍のフィールドジャケットとして採用されたモデルで、のちにモッズコートとしてファッションシーンに定着しました。ミリタリーとサブカルチャーの両方の文脈を持つ、非常に背景の厚いアイテムです。

このモデルは、オリーブグリーンを基調とした王道の配色で、M-65らしい雰囲気をしっかり残しています。フードやポケットの配置など、元ネタを意識しながらも、街着として取り入れやすいバランスに調整されています。過度に無骨すぎず、かといって軽すぎない。その中間をうまく突いている印象です。

生地感は厚すぎず薄すぎず、冬はもちろん、秋口や春先にも活躍します。重ね着次第で表情が変わるのも、この手のコートの魅力です。インナーを選ばず、さっと羽織れるアウターとして、日常使いに向いています。

本格的なヴィンテージM-65と比べれば、簡略化されている部分もありますが、その分扱いやすく、気負いなく着られます。ファッションとしてのミリタリーを楽しむ入口として、非常にバランスの良い一着です。

「とりあえず羽織る服」が、気づけば一番出番が多くなる。そんな現実的な良さを持ったコートだと思います。

bershka_m-65

◾️ 5|JOURNAL STANDARD
ダウンジャケット メンズ Sサイズ(オリーブ)

JOURNAL STANDARDは、特定のブランド名というよりも「セレクトショップ」としての思想が色濃く反映された存在です。1997年に誕生し、国内外のブランドを編集的な視点で集めながら、オリジナルアイテムも展開してきました。流行をそのままなぞるのではなく、「今の気分」を日常着としてどう落とし込むか。そのバランス感覚が、長年支持されてきた理由だと思います。

セレクトショップのオリジナルアイテムは、派手さよりも実用性が重視されることが多く、このダウンジャケットもまさにその延長線上にあります。オリーブグリーンという落ち着いた色味は、ミリタリーの文脈を感じさせながらも主張しすぎず、コーディネートに自然に溶け込みます。

ダウンジャケットというと、どうしてもボリューム感が強くなりがちですが、この一着はシルエットを抑え、街着として使いやすい設計になっています。軽さと保温性のバランスも良く、真冬だけでなく、秋から春先まで着用できる汎用性があります。

Sサイズ表記ですが、日本人体型を想定した作りのため、過度にタイトすぎる印象はありません。シャツやニットの上から羽織っても収まりが良く、「気負わず毎日着られるアウター」として完成度の高い一着です。流行が過ぎても違和感なく着続けられる点に、セレクトショップならではの価値を感じます。

journalstandard

◾️ 6|OPTITUDE
ファー付き Aライン カシミヤ・ウールコート Sサイズ(レッド)

OPTITUDEは、素材選びとシルエットの美しさに重点を置いたブランドです。派手な装飾や過度なデザインではなく、着たときの佇まいや、動いたときのラインを大切にしている点が特徴です。

このコートは、カシミヤ混のウール素材を使用しており、軽さと柔らかさが際立ちます。カシミヤが入ることで繊維が細かくなり、肌触りが非常に滑らかです。ウールだけのコートに比べ、同じ厚みでも軽く感じられるのが大きな魅力です。

Aラインシルエットは、身体のラインを拾いすぎず、それでいて女性らしい柔らかな印象を与えてくれます。ファー付きのデザインも、装飾として主張しすぎることなく、全体のバランスを上品にまとめています。

レッドという色は勇気がいると感じる方もいるかもしれませんが、このコートは深みのあるトーンのため、意外と合わせやすい一着です。冬の装いはどうしても暗くなりがちですが、こうした色味を一点取り入れるだけで、コーディネート全体の印象が大きく変わります。主役として楽しめる、存在感のあるコートです。

optitude

◾️ 7|ピュアカシミヤ
テーラードジャケット AB5(メンズL相当/濃紺)

このジャケットの最大の特徴は、ピュアカシミヤ100%という素材にあります。カシミヤは、山羊のうぶ毛のみを原料とする希少な天然繊維で、一本一本の繊維が非常に細く、空気を多く含む性質があります。そのため、薄手でも高い保温性を持ち、なおかつ軽量です。

また、カシミヤ特有のしなやかさは、着用時のストレスを大きく軽減してくれます。肩や肘の動きに自然に追従し、長時間着ていても疲れにくい。これは、化学繊維や通常のウール素材ではなかなか得られない感覚です。

デザインは、オーソドックスなテーラードジャケット。濃紺カラーは汎用性が高く、ビジネスシーンはもちろん、ニットやカットソーと合わせてきれいめカジュアルにも対応できます。素材の上質さがあるため、シンプルな着こなしでも十分に雰囲気が出ます。

流行に左右されない定番の形だからこそ、素材の良さが際立つ一着です。大切に扱えば、何年も、場合によっては十年以上着続けることができる。そうした「時間に耐える服」という点で、非常にサステナブルな存在だと感じています。

cashmere

◾️ 8|MACKINTOSH
ウール ゴム引きコート ストライプ Sサイズ

MACKINTOSHは、1823年創業の英国老舗ブランドです。最大の特徴は「ゴム引きコート」にあります。生地と生地の間に天然ゴムを挟み込むという独自の製法により、防水性を持たせながらも、クラシックな見た目を実現してきました。

このコートは、ウール素材をベースにゴム引き加工を施したモデルです。防水性だけでなく、防風性にも優れており、英国の不安定な気候を想定して作られていることがよくわかります。実用性を徹底的に追求しながら、デザインは極めて洗練されています。

ブラウン系を基調に、ブルーとオフホワイトを配したオルタネートストライプは、クラシックでありながら現代的な印象もあります。遠目では落ち着いて見え、近くで見ると表情がある。その奥行きのあるデザインは、さすが老舗ブランドだと感じさせます。

機能服でありながら、きちんと装いとして成立する。MACKINTOSHの魅力は、その両立にあります。流行に左右されず、長く着続けられるコートとして、非常に完成度の高い一着です。

mackintosh

◾️ 9|McGREGOR
圧縮ニット カバーオール モスグリーン メンズMサイズ

McGREGORは、1921年創業のアメリカ老舗ブランドです。アメリカントラディショナルをベースにしながら、どこか英国的な品の良さも感じさせる独特の立ち位置を築いてきました。日本ではアメトラの代表的存在として知られています。

このカバーオールは、ウール混の圧縮ニット素材を使用しています。圧縮ニットは、編地を縮絨加工することで目を詰め、布帛のような強度と防寒性を持たせた素材です。ニット特有の柔らかさを残しつつ、型崩れしにくい点が特徴です。

モスグリーンの色味は落ち着いており、ワークテイストのカバーオールでありながら、どこか上品な印象を与えてくれます。シャツやニット、デニムとの相性も良く、大人のカジュアルスタイルに取り入れやすい一着です。

ブリティッシュとアメトラが自然に溶け合ったような雰囲気は、McGREGORならでは。カジュアルでありながら、きちんと感も残したい方におすすめできるアウターです。

mcgregor

◾️ 10|Christian Dior SPORTS
ツイード オーバージャケット

Christian Dior SPORTSは、メゾン・ディオールのエレガンスをベースに、スポーツウェアの要素を取り入れたラインです。ラグジュアリーと実用性を融合させるという試みは、当時としては非常に先進的でした。

このツイードオーバージャケットは、異なるツイード素材を組み合わせたコンビデザインが特徴です。クラシックなツイードに、あえて変化を加えることで、重たくなりすぎず、現代的な印象に仕上げられています。

中綿入りのため、防寒性も高く、見た目以上に暖かい一着です。オーバーシルエットで、インナーに厚手のニットを着込むこともでき、冬の主役アウターとして十分な存在感があります。

ディオールらしい上質さを感じさせながら、日常に取り入れやすい。ラグジュアリーブランドの服を「特別な日」だけで終わらせず、日常着として楽しむ。その姿勢こそが、このアイテムの魅力だと思います。

christian_dior

◾️ おわりに|少量でも、続けるということ

サステナブルの本質は、「我慢」や「制限」ではないと思っています。 また、完璧な行動を求めることでもありません。

洋服の魅力を知り、興味を持つこと。 そして、一着一着を大切に扱い、できるだけ長く着ること。 それが難しくなったときには、次の人につなぐこと。

その循環が生まれるだけでも、 洋服は「消費」ではなく「時間をともにする存在」になります。

リユースは、そのための手段の一つです。 安いから買うのではなく、 偶然の出会いを楽しみ、愛着を持って着る。

そうした体験が増えることが、 結果的にサステナブルな社会につながっていくのではないでしょうか。

この「サステナの窓」は、 立派な答えを提示する場所ではありません。

少量でも良い、洋服の魅力を伝えることが大切。 それが、今の自分なりのサステナブルです。

次回もまた、このコラムでは、楽しい洋服をお伝えします。



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