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基準・単位

基準・単位

生地を正しく理解し、用途や目的に応じて適切に選ぶためには、「基準」や「単位」の知識が欠かせません。繊維一本の太さから、生地全体の重さ、糸の撚り回数、染色堅牢度、仕上げの風合いに至るまで、テキスタイルの世界ではさまざまな項目に対して明確な基準と単位が設けられています。それらは品質の評価、製造工程の管理、取引の際の信頼性確保などに広く活用され、素材選定においても重要な判断材料となります。

たとえば、繊維の細さを表す「デニール(denier)」や「デシテックス(dtex)」は、原糸段階での物性評価に用いられ、糸になると「番手(cotton count、wool countなど)」が加わります。これらは素材によって測り方や基準が異なり、同じ「40番手」と表記されていても、綿糸と毛糸では意味が異なるため注意が必要です。

また、生地としての評価には、「g/m²(平方メートルあたりの重さ)」や「oz/yd²(平方ヤードあたりオンス)」といった面積あたりの質量を示す単位が使われ、厚みや透け感の指標にもなります。織物の場合は「密度(ends per inch/picks per inch)」や「組織密度」などが織りの風合いや強度に関係し、編物では「ゲージ(gauge)」が重要な指標となります。

さらに、染色や加工の分野では、色落ちしにくさを示す「染色堅牢度(JISやISOに基づく評価)」や、防シワ・撥水・難燃などの加工効果も、JISやISOといった国際的基準に則った数値評価で品質を保証します。

このように、生地に関する「基準・単位」は、テキスタイルに関わるすべての人にとって共通の“言語”とも言える存在です。本ページでは、それぞれの単位や基準の意味と使い方を体系的に整理し、JIS規格や国際規格との関係性も含めてわかりやすく紹介していきます。初学者の方はもちろん、現場で活躍する方々の再確認や知識のアップデートにもご活用ください。

繊維の基準や単位

繊維とは、糸や布の原材料となる細長い素材のことを指します。繊維の性質を評価する際に重要となる基準には、「繊度(せんど)」「長さ」「強度」「伸縮性」「曲げ剛性」などがあります。なかでももっとも基本的かつ広く使われるのが繊度(繊維1本の太さ)であり、以下のような単位があります。

繊度

繊度とは、繊維1本の「細さ」を数量的に示す指標であり、繊維素材や糸の性質を評価するうえで非常に重要な物理量です。繊維の直径を直接測るのではなく、一定の長さあたりの質量(重さ)で「どれだけ細いか」を示します。繊維が細ければ繊度は小さく、太ければ繊度は大きくなります。

主にデニール(denier)やデシテックス(dtex)で表され、たとえば「1デニール」は「9000mで1gの重さ」という意味です。この単位は、化学繊維(ポリエステル、ナイロンなど)の単繊維(マルチフィラメントを構成する1本)や天然繊維(シルクなど)など、「一本の繊維」の太さを表現するために用いられます。

つまり、繊度は「繊維」の単位として分類するのが基本です。ただし、繊度を基準にしてフィラメント糸(未撚糸)そのものの太さを評価する場合もあるため、「糸」にも部分的に関係します。

繊度は、衣料品の風合いや光沢、ドレープ性、耐久性、吸湿性などに大きな影響を与えます。繊度が小さい繊維はしなやかで柔らかく、肌触りが滑らかになり、高級衣料やストッキング、スカーフなどに多く使われます。一方、繊度が大きい繊維は強度や耐久性に優れ、バッグやカーペット、産業資材用途に適しています。

デニール(denier)
定義:9,000メートルの繊維の質量(g) 式:デニール(D)=重さ(g) ÷ 9,000(m)
特徴:主にナイロン・ポリエステルなどの合成繊維に用いられ、衣料・インテリア・産業用途に広く使用されています。
例:40デニール=9,000mの繊維が40g → 一般的なストッキングの厚さ

テックス(tex)
定義:1,000メートルの繊維の質量(g) 式:テックス(T)=重さ(g) ÷ 1,000(m)
特徴:国際的な**SI単位(メートル法)**で、特に産業用繊維や工業用途で採用されています。
例:20 tex=1,000mで20g → 比較的細めの糸

デシテックス(decitex, dtex)
1,000メートルあたりの質量を0.1グラム単位で表示式:1テックス=10デシテックス。
特徴はマイクロファイバーや高密度素材の表示に使用。数値が小さいほど極細繊維
例:マイクロデニール

天然繊維(綿、麻、ウールなど)においても、平均繊度(μm)や繊維長(mm単位)などが品質の判断基準になります。特にウールの場合、「Super100'S」などの表記があり、これは繊維の太さ(繊度)を基準にした国際的なランク付けです。

繊度別用途一覧表
繊度(デニール/テックス)
繊維の特徴
主な用途例
〜1d/〜0.1 tex
極細・柔らかい
メガネ拭き、化粧用クロス、高級ストッキング、超軽量ウェア
1〜10d/0.1〜1 tex
極細・柔らかい
スカーフ、ランジェリー、薄手ブラウス、高級インナー
10〜40d(1〜4 tex)
標準的な衣料用途
一般的なTシャツ、下着、ワイシャツ、カットソーなど
40〜100d(4〜10 tex)
やや太め・しっかり
バッグ用裏地、スポーツウェア、制服、カーテン、ジャケット裏地
100d以上(10 tex以上)
太く強度が高い
ワークウェア、アウトドア用品、ロープ、テント、産業資材

ウールマーク品質基準

この品質基準は、国際羊毛機構(IWTO:International Wool Textile Organisation)規則8およびその「Super S」記述コードに基づき、ウール製品における繊維の品質表示方法を定めたものです。Super S 表示は IWTO が所有し、ザ・ウールマーク・カンパニーが管理しています。

Super○○○'Sは、使用されているウール繊維の平均繊度(太さ)を示すもので、主にウーステッド(梳毛)ウールの高級紳士服地に用いられます。

基準
Super100'S:繊維の平均直径が約 18.5ミクロン(μm)で最大平均直径18.75μmです。
Super120'S:繊維の平均直径が約 17.5ミクロン(μm)で最大平均直径17.75μmです。
Super150'S:繊維の平均直径が約 16.0ミクロン(μm)で最大平均直径16.25μmです。

適用対象
ウール100%の製品(最大5%の飾り糸を除く)に適用。
織物・編物アパレル、手編み糸、生地などウールマークブランドの製品が対象。

Super S 表示の条件
表示できる等級は「Super 80s〜Super 250s」の範囲内のみ。
平均繊維直径で区分され、「Super S」等級ごとに規定の直径μm以下でなければならない。
測定はIWTOの最新規則・試験方法(IWTO-08など)に準拠。

品質維持と検査
製品ごとの品質等級(Super S)が継続して保たれるよう、品質管理試験を実施。
測定には誤差の許容はなく、規定値を厳格に満たすことが求められる。

Super○○○'Sの計測方法

Super表記のもととなる平均繊維径の測定は、以下のような流れで行われます。

1. サンプルの採取

ウール原料(たとえばスライバーや糸、生地)からランダムに代表的な繊維を一定本数(通常は数百本)抽出します。

2. 測定方法:繊維径(ミクロン)測定

エアフロー法(Airflow method)
特定の繊維量に空気を通し、その通気抵抗から平均繊維径を推定。
主に原毛やスライバーの段階で使用されます。

顕微鏡法(Projection Microscope Method)
繊維をスライドガラスに固定し、投影型顕微鏡で直径を拡大して測定。
一本ずつ測るため、より正確な個別データが得られます。

レーザー回折法・画像解析法(近年のデジタル化)
コンピュータ画像解析やレーザーで、多量の繊維を高速測定可能。
工場や研究機関で用いられています。

3. 統計処理

抽出した繊維の直径分布(ミクロン値)を測定し、そこから平均値(Mean Diameter)を算出します。
たとえば、100本の繊維があり、太さが17μm~20μmに分布していて、その平均が18.5μmであれば「Super100’S」に相当します。

4. IWTO基準との照合

エアフロー法(Airflow method)
測定値がIWTOの定めるSuper表記の基準値以下であることが求められます。

注意点
「平均18.5μm」であれば、実際にはそれより太い繊維(19μmや20μm)も混ざっていて構いません。
ただし、上限に一定の割合を超える太い繊維が含まれると不合格になります。

Super表記の管理
近年はこのSuper表記が商品価値に直結するため、原料段階での証明書(ウールトップの繊度検査成績)が求められる場合もあります。
加工工程(紡績・織布・仕上げ)では繊維が引き延ばされたり縮んだりするため、生地になってから直接繊度を測るのは困難で、原料ベースでの確認が主流です。
IWTO が規定する「Super S」区分の平均繊維直径
Super表記
平均繊維径 (μm)
最大平均繊維径 (μm)
Super 80'S
19.5
19.75
Super 90'S
19.0
19.25
Super 100'S
18.5
18.75
Super 110'S
18.0
18.25
Super 120'S
17.5
17.75
Super 130'S
17.0
17.75
Super 140'S
16.5
16.75
Super 150'S
16.0
16.25
Super 160'S
15.5
15.75
Super 170'S
15.0
15.25
Super 180'S
14.5
14.75
Super 190'S
14.0
14.25
Super 200'S
13.5
13.75
Super 210'S
13.0
13.25
Super 220'S
12.5
12.75
Super 230'S
12.0
12.25
Super 240'S
11.5
11.75
Super 250'S
11.0
11.25

糸の基準や単位

糸は、繊維を撚って連続した状態にしたものです。糸の評価には「太さ(番手)」「撚り数」「長さと重量の比率」などがあり、以下のような単位が使用されます。

糸の単位

番手(cotton count:Ne)
綿糸などで使われる。1ポンド(約453.6g)の綿から何ヤードの糸が紡げるか(通常840ヤード)。
数が大きいほど糸は細い。

公定水分率
糸の重さを測る際に基準とされる含水率。
例:綿は8.5%、ウールは18%

ウール番手(metric count:Nm)
1gあたり何メートルの長さがあるか。
数が大きいほど糸は細い。

デニール・テックス・dtex
合成繊維の糸にも使用される。
数が大きいほど糸は太い。

また、撚りの回数(撚り数:TPI=twists per inch)やS撚り・Z撚りといった方向性も、糸の性質や仕上がりに大きな影響を与えます。

糸の太さを示す単位:番手(ばんて)

番手とは複数の繊維が集まって構成される糸(スパン糸やフィラメント糸)の太さを示す単位であり、使用される繊維の素材や測定方式(恒重式/恒長式)によって表示形式が異なります。たとえば綿糸には「綿番手(Ne)」、ウールには「毛番手(Nm)」、麻には「リーニュ(Lea)」などが使われます。

つまり、番手は「糸」の単位として明確に分類されます。対象はあくまで「1本の糸の太さ」であり、繊維単体には適用されません。

綿番手(cotton count, Ne)
綿番手は、「1ポンドの糸が何ヤードあるか」を基準とした指標。数値が大きいほど糸は細くなります。主に天然繊維や紡績糸に使用されます。
綿番手 20番:1ポンドで840ヤード×20=16,800ヤードの糸 → 比較的太い糸
綿番手 60番:細い高級糸

毛番手(wool count, Nm)
毛番手は、ウールやカシミヤなど動物性繊維の紡績糸に用いられる単位で、「1グラムで何メートルの糸が引けるか」を基準としたメートル法の番手です。数値が大きいほど糸は細くなります。ヨーロッパを中心に使用され、日本でも高級毛織物やニット素材で用いられています。
毛番手 Nm 20番:1グラムで20メートルの糸 → 太めの糸
毛番手 Nm 80番:細く繊細な高級糸

麻番手(linen count, lea)
麻番手は、リネン(亜麻)などの麻素材に使用される番手で、「1ポンドで300ヤード×番手分の長さの糸が取れる」ことを意味します。綿番手と似ていますが、基準となるヤード数が異なります。麻特有の張り感と強度により、太番手でもしっかりとした印象を持ちます。
麻番手 10 lea:1ポンドで3,000ヤードの糸 → 太めで丈夫
麻番手 40 lea:細く繊細な仕上がり

絹番手(silk count, Ne)
絹は通常はデニールで表すが、スパンシルクの場合は番手を使用します。
絹番手は、綿番手と同じ単位で表します。

繊度と番手の違い

繊度は1本の繊維の太さ」を数値化したもので、番手は繊維を束ねて糸(=多数の繊維で構成)の太さを評価するものです。

繊度と番手は、「素材の状態(繊維か糸か)」によって使い分けられるべき単位です。

繊維の段階であれば「繊度」
糸として撚られたり、複数の繊維が合わさっているなら「番手」

ただし、フィラメント糸(単繊維または複数の繊維を撚らずに束ねたもの)については、「繊度=糸の太さ」として扱われることもあります。このため、一部の教科書や実務書では「繊度は糸の太さを表す単位」と説明されることもありますが、厳密には「繊維ベース」である点を明記しておくのが正確です。

繊度(g/m)と番手(m/g)は逆数関係ですが、単位の基準が異なるため単純換算はできません。特に、デニールと綿番手、テックスと毛番手などは測定単位(メートル、ヤード、ポンド等)が違うため、実務では換算表や基準表を用います。

繊度・番手換算表
デニール
(T)
テックス
(T)
デシテックス
(dtex)
綿番手(Ne)
※概算
毛番手(Nm)
※概算
麻番手(lea)
※概算
5
0.56
5.6
160
280
240
10
1.11
11.1
80
140
120
20
2.22
22.2
40
70
60
30
3.33
33.3
27
47
40
40
4.44
44.4
20
35
30
50
5.56
55.6
16
28
24
100
11.11
111.1
8
14
12
素材別単位一覧表
素材
単位
内容
ポリエステル
デニール、テックス
天然素材向け。
番手が大きいほど細い。
ナイロン
デニール
タイツやストッキングなどによく使われる。
綿(コットン)
番手(Ne)
天然素材向け。
番手が大きいほど細い。
絹(シルク)
デニール、番手
通常はデニール。
スパンシルクは番手を使用。
単位は綿番手と同じ。
毛(ウール)
番手(Nm、Ne)
単繊維紡績糸として番手表示が一般的。
麻(リネン)
番手(Ne)、テックス
リネンは比較的太い糸で番手表記。
工業用途ではテックスも。

恒重式(こうじゅうしき)・恒長式(こうちょうしき)

恒重式・恒長式は、糸の太さや長さを測定する方法論(計測方式)に関する分類です。これらは番手の基準に深く関係し、番手が何を基にして算出されているのかを理解するための根幹となる考え方です。糸の細さをどのように測るかという観点で、糸の重さを固定するか、長さを固定するかで区分されます。


恒重式とは、「一定の重量(質量)で何メートルの長さがあるか」を測る方式です。重さを一定にして、そこから得られる糸の長さを番手として換算します。主に天然繊維のスパン糸(紡績糸)に用いられ、以下の番手単位が該当します。

恒重式
綿番手(Ne)
麻番手(Lea)
毛番手(Nm)
絹番手(Den・TEXを除く)

この方式では、番手の数値が大きいほど糸が細く、数値が小さいほど太い糸になります。これは重さが一定であれば、長い糸ほど細いという理屈からです。


恒長式とは、「一定の長さで何グラムの重さがあるか」を測る方式です。長さを固定して、そこから得られる重さを基に番手や繊度を表します。合成繊維やフィラメント糸に多く使われ、以下の単位が該当します。

恒長式
デニール(denier)
デシテックス(dtex)

この方式では、数値が大きいほど糸が太く、数値が小さいほど細い糸であることを意味します。

恒重式と恒長式の違いと比較
観点
恒重式
恒長式
固定する要素
重さ
長さ
測るもの
重さ一定の糸の長さ
長さ一定の糸の重さ
番手との関係
番手(Ne)
デニール、テックス
使用繊維
綿・毛・麻などの天然繊維
ナイロン・ポリエステルなど合成繊維

恒重式は、古くから用いられている自然繊維の番手計測に適し、織物やニットなどの太さ基準に用いられます。対して恒長式は、均一な繊維長を持つフィラメント糸に適し、より現代的かつ国際的な基準となっています。

恒重式・恒長式の目的

両方式とも、糸の太さ・密度を定量的に測定し、製品設計のための判断基準を提供することが目的です。異なる方式を使うのは、素材の物性や加工法、産業的背景によって求められる測定精度が異なるためです。たとえば、ウールのように繊維長が不均一な素材には恒重式が適し、ポリエステルのように均一なフィラメントには恒長式が適しています。

繊度・番手と恒重式・恒長式の関連性

「繊度」と「番手」は、それぞれ「恒長式」「恒重式」という測定方式と密接に結びついています。繊度は主に恒長式に基づいており、番手は主に恒重式に基づいています。

恒長式 ⇒ 繊度(デニール・デシテックス)
合成繊維やフィラメント糸に多い。長さを固定して重さを測る方式。

恒重式 ⇒ 番手(Ne・Nm・Leaなど)
天然繊維やスパン糸に多い。重さを固定して長さを測る方式。

このように、繊度と番手は単なる「太さの違い」を表す指標ではなく、その測定方式により根本的な定義が異なっています。したがって、異なる単位を直接比較することは難しく、必要に応じて換算式を用いることが求められます。

実務的な利用

テキスタイルの企画や設計においては、繊度や番手を正しく理解し、どの測定方式で表されているのかを明確にすることが不可欠です。また、国際取引やJIS/ISO規格においても、恒長式の「デシテックス」が基準化される傾向が強くなっていますが、実務では依然として伝統的な番手表記が併用される場面も多く存在します。

繊度・番手、恒重式・恒長式は、素材理解の「基礎言語」とも言える存在です。それぞれの仕組みと使い分けを正確に把握することで、より精度の高い生地選定・製品設計が可能となります。

生地の基準や単位

生地の評価では、「目付け(g/m²やoz)」「密度」「組織」「幅」などの指標が用いられます。

g/m²(グラム毎平方メートル)
世界的に最も一般的な単位。
生地の重さを面積あたりで表す。

oz(オンス)
主にデニムやキャンバスなどで使われる。
1平方ヤードあたりの重さ。
1oz ≒ 28.35g

匁(もんめ)
主にシルクで使用される。
反物(1尺幅×12m)あたりの重さ。
1匁 ≒ 3.75g。

幅(inchまたはcm
生地の横幅の寸法。
裁断やレイアウトに影響。
単位別換算早見表
単位
換算例(おおよそ)
説明
g/m²
200g/m² = 約5.9oz/yd²
平方メートルあたりの重さ
(国際標準)
oz/yd²
1oz/yd² ≒ 33.9g/m²
1平方ヤードあたりのオンス
(米国基準)
1匁 ≒ 3.75g(1反分)
反物の重さ(1匁=3.75g)
日本のシルクなど
lb/yd
1lb/yd ≒ 453.6g/yd
1ヤードあたりの重さ
(ポンド単位)
坪量
100g/坪 ≒ 約30.3g/m²
1坪(3.3㎡)あたりの重さ

組織密度・ゲージ(織物と編物の基本構造を表す単位)

織物や編物の構造を数値的に示す際に用いられる代表的な単位が「組織密度」と「ゲージ」です。これらは見た目の風合いや強度、通気性、伸縮性など、生地の物性を大きく左右する重要な要素であり、設計や品質評価の場面でも欠かせません。

まず「組織密度」とは、織物において縦糸(経糸)と横糸(緯糸)がどの程度の密度で交差しているかを示す数値です。通常、「経密度(warp density)」と「緯密度(weft density)」に分けて表現され、どちらも「1インチあたりの本数(本/inch)」や「10cmあたりの本数(本/10cm)」で表されます。たとえば「経密度80本/インチ、緯密度70本/インチ」のように記載され、数値が高いほど糸が詰まっており、丈夫で目の詰まった印象の生地になります。逆に密度が低いと、柔らかく風通しのよい生地に仕上がります。

一方、「ゲージ(gauge)」は主に編物で用いられる単位で、編機の針の密度、つまり1インチまたは1インチあたりに何本の針があるかを示します。たとえば「12ゲージ」の場合、1インチに12本の針が配置されていることを意味します。針の本数が多いほど細かく繊細な編地ができ、逆に少ないとざっくりとした粗い編地になります。ゲージはニットウェアや丸編み地、経編み地などにおいて、生地の密度や風合い、ドレープ性に直接影響を与える基準です。

ゲージには「編み目密度」という概念も含まれ、実際の製品設計では、縦方向(コース)と横方向(ウェール)の編み目数も併せて考慮されます。つまり、ゲージは単に針の密度だけでなく、仕上がりの編み目構成にも深く関係しています。

これらの単位は、生地の機能性・外観・コストのすべてに関わってくるため、素材開発や商品企画の段階から意識されるべき重要な指標です。たとえば、高密度の織物は防風性や耐摩耗性が高くなる一方で、通気性は下がります。逆に低密度や粗ゲージの編地は軽やかで伸縮性に富み、カジュアルな印象を与えるのに適しています。

このように「組織密度」と「ゲージ」は、それぞれ織物と編物の特性を定量的に把握するための基準であり、生地設計・選定において極めて重要な役割を果たします。単位の意味を正しく理解することで、生地の構造や性能をより深く読み解き、意図に合った素材選びが可能になります。

加工の基準や単位

繊維や生地には、仕上げとしてさまざまな加工が施されます。これには物理的・化学的処理が含まれ、それぞれの工程での効果や性能も数値で評価されます。

収縮率(%)
洗濯や加工後にどの程度寸法が変化するか。
±◯%などで表示。

透湿性(g/m²/24h)
24時間で1㎡の面積からどれだけ水蒸気が通過するか。
アウトドア製品で重要。

防水性(水圧mm)
水が染み込まずに耐えられる圧力の高さ
mm単位

幅(inchまたはcm)
生地の横幅の寸法。
裁断やレイアウトに影響。

耐摩耗性・引張強度
ピリングなど、物理試験による性能評価指標。

加工によって得られる機能は、防縮・防水・防シワ・UVカットなど多岐に渡ります。それらを評価・管理するために、JIS(日本工業規格)やISO(国際標準化機構)に基づいた試験値や等級が設定されています。

JIS_ISO対応表
評価項目
JIS規格番号
ISO規格番号
概要
引張強度
JIS L 1096
ISO 13934
生地を引っ張った際の破断強度測定
耐摩耗性
JIS L 1096
ISO 12947
摩耗による表面劣化の耐性評価
ピリング試験
JIS L 1076
ISO 12945-2
毛玉の発生しやすさを評価
透湿性
JIS L 1099
ISO 15496
生地の水蒸気透過量の測定
防水性
JIS L 1092
ISO 811
耐水圧による防水性能の評価
洗濯後の収縮率
JIS L 0217
ISO 6330
洗濯後の寸法変化を測定

繊維・糸・生地・加工の単位

繊維・糸・生地、そして仕上げ加工に至るまで、テキスタイルに関わるあらゆる段階で、多種多様な「単位」が使われています。これらの単位は、素材の太さ・長さ・重さ・密度・強度・仕上がりなど、特性や品質を定量的に評価・表現するために不可欠なものです。単位の正確な理解は、原料選定から製品開発、さらには販売・流通の現場に至るまで、テキスタイルに関わるすべてのプロセスを支える基盤となります。

たとえば、繊維の細さを表す「繊度(デニールやテックス)」は、一本一本の繊維の物性を示し、織りや編みの風合いや機能性に直結します。一方、糸になると「番手」という別の指標が用いられ、素材によって綿番手、毛番手、麻番手、絹番手など複数の種類が存在します。これにより、繊維の密度や重さを実用的な形で把握できます。

さらに、生地になると「目付(g/m²)」「組成比率」「織密度」「厚さ」「幅」など、表現すべき物理情報が増えます。最終的な仕上げ加工においては、「縮率」「撥水度」「堅牢度」など性能評価に関する単位も登場します。これらの数値が、衣服としての着心地や耐久性、手入れのしやすさなど、ユーザー体験に大きな影響を与えます。

単位を理解することは、単に数字を読み取るだけでなく、素材の背景や技術、目的との関係性を読み解く力を育てることにつながります。たとえば、同じ重さの糸でも繊度が違えば風合いが変わり、同じ番手でも素材によって表情が異なります。加工単位ひとつを取っても、それがどのような工程で生地に影響を及ぼすのかを知ることで、素材選定やデザイン判断の幅が格段に広がります。

繊維・糸・生地・加工の単位一覧表
分類
項目
単位
用途・備考
繊維
デニール (den)
g/9000m
合成繊維の太さ指標
(小さいほど細い)
繊維
テックス (tex)
g/1000m
国際標準の太さ指標
番手 (Ne)
840yd/lb
綿糸の細さ、数が大きいほど細い
メートル番手 (Nm)
m/g
ウール糸など、1gで何mか
生地
目付け (g/m²)
g/m²
国際標準の生地重量
生地
オンス (oz/yd²)
oz/yd²
デニム・キャンバスなどで使用
生地
匁(もんめ)
g(38cm×12mあたり)
シルクの重量評価、和装で多用
加工
透湿性
g/m²/24h
蒸れ防止・快適性評価
加工
防水性
mmH₂O
耐水性・防水加工性能
加工
収縮率
%
洗濯や加工後の寸法変化率

このように、繊維から加工に至る各段階の単位を理解することは、テキスタイルの本質を見極め、製品の魅力を的確に伝えるうえでも重要な要素です。本ページではそれぞれの単位を可能な限り体系的に整理し、実務や学習に役立てられるよう構成しています。

ぜひ、素材を見る目と読み解く力を深める手がかりとして、ご活用ください。