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Textiles Encyclopediaテキスタイル事典 / 繊維
繊維の単位

繊維の単位(長さ・重量・太さ)

繊維や糸、布地に関わる単位は、素材の性質や用途、国や業界の慣習により多様な基準が存在します。主に「長さ」「重量」「太さ(繊度・番手)」の3つが基礎となり、これらの組み合わせによって繊維の性状が定量的に表現されます。

■ 太さを示す単位:繊度(せんど) ■

繊度とは、繊維1本の「細さ」を数量的に示す指標であり、繊維素材や糸の性質を評価するうえで非常に重要な物理量です。繊維の直径を直接測るのではなく、一定の長さあたりの質量(重さ)で「どれだけ細いか」を示します。繊維が細ければ繊度は小さく、太ければ繊度は大きくなります。

この単位は、衣料品の風合いや光沢、ドレープ性、耐久性、吸湿性などに大きな影響を与えます。繊度が小さい繊維はしなやかで柔らかく、肌触りが滑らかになり、高級衣料やストッキング、スカーフなどに多く使われます。一方、繊度が大きい繊維は強度や耐久性に優れ、バッグやカーペット、産業資材用途に適しています。

デニール(denier)
定義:9,000メートルの繊維の質量(g) 式:デニール(D)=重さ(g) ÷ 9,000(m)
特徴:主にナイロン・ポリエステルなどの合成繊維に用いられ、衣料・インテリア・産業用途に広く使用されています。
例:40デニール=9,000mの繊維が40g → 一般的なストッキングの厚さ

テックス(tex)
定義:1,000メートルの繊維の質量(g) 式:テックス(T)=重さ(g) ÷ 1,000(m)
特徴:国際的な**SI単位(メートル法)**で、特に産業用繊維や工業用途で採用されています。
例:20 tex=1,000mで20g → 比較的細めの糸

デシテックス(decitex, dtex)
1,000メートルあたりの質量を0.1グラム単位で表示式:1テックス=10デシテックス。
特徴はマイクロファイバーや高密度素材の表示に使用。数値が小さいほど極細繊維
例:マイクロデニール

■ 太さを示す単位:番手(ばんて) ■

番手は「糸(=多数の繊維で構成)」の太さを評価するものです。各番手は素材ごとに構造や密度の違いがあるため、同じ数値でも繊維の種類によって糸の太さや質感に違いが生じます。そのため、比較には注意が必要です。

綿番手(cotton count, Ne)
綿番手は、「1ポンドの糸が何ヤードあるか」を基準とした指標。数値が大きいほど糸は細くなります。主に天然繊維や紡績糸に使用されます。
綿番手 20番:1ポンドで840ヤード×20=16,800ヤードの糸 → 比較的太い糸
綿番手 60番:細い高級糸

毛番手(wool count, Nm)
毛番手は、ウールやカシミヤなど動物性繊維の紡績糸に用いられる単位で、「1グラムで何メートルの糸が引けるか」を基準としたメートル法の番手です。数値が大きいほど糸は細くなります。ヨーロッパを中心に使用され、日本でも高級毛織物やニット素材で用いられています。
毛番手 Nm 20番:1グラムで20メートルの糸 → 太めの糸
毛番手 Nm 80番:細く繊細な高級糸

麻番手(linen count, lea)
麻番手は、リネン(亜麻)などの麻素材に使用される番手で、「1ポンドで300ヤード×番手分の長さの糸が取れる」ことを意味します。綿番手と似ていますが、基準となるヤード数が異なります。麻特有の張り感と強度により、太番手でもしっかりとした印象を持ちます。
麻番手 10 lea:1ポンドで3,000ヤードの糸 → 太めで丈夫
麻番手 40 lea:細く繊細な仕上がり

■ 繊度と番手の違い ■

繊度は1本の繊維の太さ」を数値化したもので、番手は繊維を束ねて糸(=多数の繊維で構成)の太さを評価するものです。

繊度(g/m)と番手(m/g)は逆数関係ですが、単位の基準が異なるため単純換算はできません。特に、デニールと綿番手、テックスと毛番手などは測定単位(メートル、ヤード、ポンド等)が違うため、実務では換算表や基準表を用います。

繊度と番手の換算表
デニール
(T)
テックス
(T)
デシテックス
(dtex)
綿番手(Ne)
※概算
毛番手(Nm)
※概算
麻番手(lea)
※概算
5
0.56
5.6
160
280
240
10
1.11
11.1
80
140
120
20
2.22
22.2
40
70
60
30
3.33
33.3
27
47
40
40
4.44
44.4
20
35
30
50
5.56
55.6
16
28
24
100
11.11
111.1
8
14
12
素材別単位一覧表
素材
単位
内容
ポリエステル
デニール、テックス
天然素材向け。番手が大きいほど細い。
ナイロン
デニール
タイツやストッキングなどによく使われる。
綿(コットン)
番手(Ne)
天然素材向け。番手が大きいほど細い。
絹(シルク)
デニール、番手
通常はデニール。スパンシルクは番手を使用(綿番手と同じ)。
毛(ウール)
番手(Nm、Ne)
単繊維紡績糸として番手表示が一般的。
麻(リネン)
番手(Ne)、テックス
リネンは比較的太い糸で番手表記。工業用途ではテックスも。
繊度別の用途一覧表
繊度(デニール/テックス)
繊維の特徴
主な用途例
〜1d/〜0.1 tex
極細・柔らかい
メガネ拭き、化粧用クロス、高級ストッキング、超軽量ウェア
1〜10d/0.1〜1 tex
極細・柔らかい
スカーフ、ランジェリー、薄手ブラウス、高級インナー
10〜40d(1〜4 tex)
標準的な衣料用途
一般的なTシャツ、下着、ワイシャツ、カットソーなど
40〜100d(4〜10 tex)
やや太め・しっかり
バッグ用裏地、スポーツウェア、制服、カーテン、ジャケット裏地
100d以上(10 tex以上)
太く強度が高い
ワークウェア、アウトドア用品、ロープ、テント、産業資材