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Textile Industry Column糸偏コラム:自由な視点
私の回顧録

2026.01.17:第32回 私の回顧録

営業時代
〜北海道出張記 出張の思い出〜

出張の終わりは、静かに始まる

みなさん、こんにちは。
前回のコラムでは、北海道出張で起きたさまざまな出来事をお話ししました。日本最北端・宗谷岬を訪れ、稚内の街で一夜を過ごし、長かった出張もいよいよ終わりを迎えます。

営業としての仕事は昨日で一区切り。 今日は、稚内を出発し、苫小牧から夜中のフェリーに乗って本州へ戻る一日です。

稚内から苫小牧までは、およそ500km。 数字だけを見ると改めてその距離に驚きますが、北海道ではそれが「一日の移動」として成り立ってしまうから不思議です。

今回は、この帰路での出来事を振り返りながら、北海道出張の締めくくりとして、心に残った思い出をお話ししたいと思います。

北海道出張記 Part2

◾️ 名残惜しさを抱えながら、稚内を出発

朝の稚内は、ひんやりと澄んだ空気に包まれていました。 ホテルをチェックアウトし、車に荷物を積み込みながら、「いよいよ帰るんだな」と実感が湧いてきます。

北海道での営業は、常に移動と隣り合わせでした。 距離を走り、人に会い、また次の場所へ向かう。 その繰り返しの中で、いつの間にかこの土地のリズムにも慣れていたように思います。

稚内の街を後にし、ハンドルを南へ切ると、視界は一気に開けていきました。


◾️ サロベツ平原を南下する贅沢な時間

最初に選んだルートは、日本海側を走り、サロベツ平原を抜けていく道です。

ここは、いかにも「北海道らしい」と感じさせる場所。 見渡す限り広がる平原、遠くに連なる山並み、どこまでも続く空。車窓の風景が、まるで一枚の大きな絵のように流れていきます。

窓を少し開けると、風の匂いが車内に入り込みました。 草の匂い、土の匂い、そしてほんのりと潮の気配。 都会では決して感じることのできない、自然そのものの香りです。

「この景色も、今日で見納めだな」

そう思うと、少しだけスピードを落とし、名残惜しさを噛みしめるように走っていました。


◾️ 留萌へ向かう道で見かけた光景

留萌方面へと向かう途中、小さな町を通り抜けていたときのことです。

道沿いに、ボードを掲げて立っている若い女性の姿が目に入りました。 最初は看板かと思いましたが、よく見ると、それはヒッチハイカーでした。

「北海道では珍しくない」

そう聞いたことはありましたが、女性がヒッチハイクをするのを、実際に目にするのはこのときが初めてでした。

一瞬、通り過ぎようかとも思いましたが、すでに仕事を終えており、時間にも気持ちにも余裕があります。苫小牧に夜中までに着けば、それでいい一日。

「まあ、話を聞くだけ聞いてみるか」

そんな軽い気持ちで、車を路肩に寄せました。


◾️ ヒッチハイカーの彼女

窓を開けて声をかけると、彼女は少し驚いた表情を見せながらも、すぐに笑顔になりました。

行き先を尋ねると、 「とにかく南へ行きたいんです」

私も南へ向かう予定だったため、方向は同じ。 荷物もバックパックひとつだけだったので、思い切って車に乗せることにしました。

こうして、思いがけない同行者との旅が始まったのです。

ヒッチハイカー

◾️ 北海道を10日以上旅しているという話

車が走り出すと、自然と会話が始まりました。

彼女は旅行が好きで、すでに10日以上、北海道を回っているとのこと。 礼文島にも行ったそうで、そこで見つけた不思議なコンビニの話をしてくれました。

その名も「礼文イレブン」。

セブンイレブンにそっくりな名前ですが、どうやら本家からクレームが入ったこともあるらしく、最終的には島内限定という形で落ち着いたそうです。

「島の中だけなら、許してあげてもいいのにね」

「屋久島にも行ってみたいんです」

そう話すときの彼女の瞳は、とても輝いていました。 屋久島には、自然の中で仙人のように暮らしている人がいる——そんな話にも、妙に惹き込まれました。

知らない土地で、知らない人と、こんな話ができる。 それは、旅だからこそ生まれる、不思議な時間です。


◾️ 200kmを共にした道のり

彼女を乗せたのは豊富町付近。 そこから留萌を越え、最終的に滝川市の道の駅まで送ることになりました。

距離にして200km強。 途中で食事も取り、一緒に過ごした時間は約8時間ほどになります。

それでも、不思議と長さは感じませんでした。 楽しい会話のおかげで、時間はあっという間に過ぎていったのです。


◾️ 名前をノートに残すという習慣

別れ際、彼女は一冊のノートを取り出しました。

「ヒッチハイクで出会った人の名前を、ここに書いているんです」

そう言って、私の名前を尋ねてきました。 名前を伝えると、丁寧に書き留めてくれました。

「いつか、この旅がテレビ番組になったら、出会った人たちを紹介したいんです」

そんな言葉を残し、彼女は再び旅の続きへと歩き出しました。

私との出会いも、彼女の旅の一ページとして、どこかに残るのかもしれません。


◾️ 苫小牧へ、そしてフェリーへ

滝川市で彼女と別れたあと、私は再び一人で苫小牧へ向かいました。

夜中のフェリーに乗船し、車を停め、甲板に上がります。 夜風に当たりながら、これまでの北海道出張の日々が、一気に頭の中に浮かんできました。

長距離移動、数々のハプニング、そして多くの出会い。 すべてが、この出張の一部でした。


◾️ 船の中で交わした、旅人同士の会話

船内では、同じように旅の帰路についているバイカーたちと話をしました。

「どこを走ってきたのか」
「どの景色が良かったか」

そんな話題で盛り上がり、互いの旅のエピソードを交換します。

波の高い航海で、まるでノースショアのように波立つお風呂に浸かり、ビールを片手に語り合う時間は、この旅の最後を飾る贅沢なひとときでした。

フェリー

◾️ 大洗港へ、そして日常へ

翌日、フェリーは大洗港に到着しました。

無事に本州へ戻り、車を走らせながら、改めて今回の出張を振り返ります。

旅は、帰り着いてこそ完結するもの。 そう実感しながら、見慣れた景色の中へ戻っていきました。


◾️ 北海道出張が残してくれたもの

広大な北海道での営業活動は、距離の長さだけでなく、人との出会いや思いがけない出来事に満ちていました。

ヒッチハイクの彼女との会話。 道中で見た風景。 フェリーで交わした旅人同士の言葉。

それらすべてが、今でも鮮明に心に残っています。


◾️ 次回予告

北海道出張の締めくくりは、思い出深い旅の一コマで溢れていました。次回のコラムでは、これまでの営業時代を振り返り、総集編としてエピソードをお届けしたいと思います。
次回もお楽しみに!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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